天王寺区の中学生を対象とした即興型英語ディベート

2015年1月25日 大阪市天王寺区民会館

大阪市天王寺区民センター

2015年1月25日、大阪市天王寺区民センターにて、天王寺区の中学生を対象とした即興型英語ディベートが開催され、16名の生徒がディベートに参加した。

本イベントは、大阪市天王寺区役所委託事業として弊社とコラボし、2013年4月に設立された初の試み。学校も学年も違うのにも関わらず、イベント開始前から楽しそうに雑談する生徒の姿が見られたことから、生徒同士の“枠を超えた交流”にも一役買っていることが伺える。

まず、生徒たちをPurple、Blue、Red and Yellow、Greenの4グループに分け、Purple、Blue、Red and Yellowの3グループは、世界的に活用されている「パーラメンタリーディベート式」にのっとったやり方でディベートが行われた。

Greenチームは、主に“楽しみながらディベートに触れる”ことを目的につくられた、ディベート未経験者・初心者を対象にしたグループで、意見を出す練習からディベート中に使う一般的な単語「I agree/disagree because…」を使って文章を書く練習からはじめ、慣れてきたところで講師のサポートを受けながらディベートに挑戦していく。

ディベートの流れ

まずはじめに、ジャッジから今回のお題が出題され、「Government(肯定チーム)」と「Opposition(反対チーム)」に分類。
そのあとは、それぞれがお題に対して「どういう観点で賛成するのか?/反対するのか?」を英語で書き起こし、「Government」と「Opposition」が交互に対抗相手の意見に“反論”と“自論”を展開。
そして最後にジャッジが、総合的に判断してどちらの方が有効なのかをチェックし、勝敗を決定する。

— 生徒たちの熱気渦巻く中、ついに開幕! —

今回は、4グループのなかでもっともハイレベルなPurpleチームにスポットをあててレポートを進めたいと思う。

Purpleチームは、「Government」が2名、「Opposition」が3名の計5名。「Junior High School students should be allowed to do a part-time job(中学生はアルバイトを許可されるべきである)」をお題に、「Government」の意見に負けじと、何度も「Opposition」が論破を試みる様子が見られた。

どの生徒も、参考文献として渡されたキーワードとなる英単語(※)を駆使し、“意見”をいくつも挙げており、終始白熱したディベートとなった。

(※)academic ability:学力、company:会社、concentrate on:集中する、など全14種類の英単語

「Government」チーム

トップバッターは「Government」チーム。緊張した面持ちだったが、堂々としたスピーチを行っていた。

<意見>
  • ・How important and precious money is.
    (いかにお金が大切で重要か)
  • ・You will gain responsibility.
    (責任感を得る)
  • ・Can get trust (relationship).
    (信頼を得ることが出来る)
<講評>
スピーチの構成が明確で上手に意見を立てられていた。説明が段階を踏んでできていて、ジャッジとしては分かりやすかった。だが過程に少々飛躍が見られたので、例などを足してシチュエーションを明確にし、具体例で意見を支えることが出来ればなお良かった。

「Opposition」チーム

それに対して「Opposition」チームが反論を繰り広げる。

<意見>
  • ・No time to study and do club activities.
    (お金の使い方は後で習える、今でなくても良い。)
  • ・No time to study and do club activities.
    (勉強と部活をする時間がなくなる。)
  • ・No time to do jobs.
    (仕事をする時間がない。)
<講評>
スピーチの構成が明確で上手に意見を立てられていた。説明が段階を踏んでできていて、ジャッジとしては分かりやすかった。だが、過程に少々飛躍が見られたので、例などを足してシチュエーションを明確にし、具体例で意見を支えることが出来ればなお良かった。

「Government」チーム

続いて、「Government」チーム。ここでは、肯定側の意見の再構築と、否定チームへの反論を展開していく。

<意見>
  • ・They said are no time but jobs are more important than club activities and study.
    (バイトをする時間がないと言ったが、部活や勉強よりこの経験は大切だ。)
  • ・You can gain sense of responsibility for example,
    (責任感が強くなる。例えば、)
  •  1)Ability to do what you should do which you can use at school and in future.
    (やらなくていけない事をやれる様になる。そしてその能力は学校や将来使える。)
  •  2)Leadership. We will have self-responsibility.
    (リーダーシップがつく。自己責任が強く)なる。
  • ・Can have opinions and think about money, you won't waste money.
    (よく考えるようになりお金の無駄遣いをしなくなる。)
  • ・If you fail to become adults, it is irreversible.
    (もしこれが出来なかったり、身につかないまま大人になったら取り返しがつかない。)
<講評>
ナンバリングを使ってスピーチにチャレンジし、意見が分かりやすくまとめられていた。責任感やリーダーシップなど身につくものがあると良く分かった。しかし具体例がなく、実際責任感やリーダーシップがどういったもので、どんな風に役に立つのか説明があればより強い意見となった。反論も自分の意見を強められていたが、相手の意見は切りきれていなかった。

「Opposition」チーム

「Government」チームの分かりやすい反論に対して少々戸惑うシーンも見受けられたが、仲間同士で相談し、POIにうつる。時間が足りなくなり焦る一面も見られたが、堂々たるスピーチだった。

<意見>
  • ・You don't have to learn how to us money now. When you are older is fine.
    (今お金の使い方を知る必要はない。もっと大人になってからでよい。)
  • POI: When you are older, if you make a wrong choice to spend money, it's too late and too old.
    (大人になってからお金の使い方を間違えていたら、もう遅い。年を取りすぎている。)
  • ANS: if we study or talk to parents or teachers, we will have rough idea so we will have good knowledge of that, so we won't be like that.
    (私たちが勉強したり、親や先生と話したりすると、大体どんな風にお金を使わないといけないのか分かる。だからそんな間違えるような大人にはならない。)
  • ・Junior High school students need to know the importance of life e.g. entrance exams and club activities.
    (中学生は人生の大切さを学ばなければならない。例えば、入試や部活。)
  • ・Experience can be gained from others e.g. time management at club activities because you have to go to the place and play games.)
    (経験はほかの事からも学べる。例えば時間の管理は部活で他の場所に行って試合をすることで学べる。
  • ・Study is more important.
    (勉強はもっと大事。)
  • ・Our important time to work.
    (私たちの勉強する大切な時間。)
  •  
  • ・Life is too short. School life is short and can’t spend it only working. Students need to have fun. Need to have good and bad times.
    (人生は短い。学校に行ける時間は短く、働くことのみは出来ない。良い時間も悪い時間も過ごさないといけない。)
<講評>
反論をしっかり頑張っていた。スピーチの内容を詳しく説明できるようになってきていて、3分では短すぎるまでに成長したが、ジャッジの理解を深めるために例を入れたり状況説明をする必要がある。POIの返事で、若干自分の意見と矛盾する意見を出してしまったので惜しかった。また反論を頑張ったので、自分の意見を言うときには時間が過ぎていて、せっかくの意見が採用してもらえなかったのが残念だった。

「Opposition」チーム

ひき続き「Opposition」チーム。さきほどのPOIを受けて、「Opposition」チームの意見が勝っている理由をまとめる。ここでは、対立チームであるにも関わらず、「Government」チームの意見を取りこぼした「Opposition」チームが、協力を仰ぐ場面が見受けられ、チーム間を超えた“仲間感”を垣間みることができた瞬間だった。

<意見>
  • ・Government said you can learn importance of money and can learn experience.
    (「Government」チームはお金の大事さと経験が学べると言いました。)
  • ・We think that we lose important time while you are a student.
    (私たちは生徒の大事な時間が失われると思う。)
  • ・You must study while you are a students, e.g. club activities and you can’t do this later. Time is limited.
    (生徒のうちは勉強や部活をするべきである。生徒じゃなくなってからは出来ません。時間は限られています。)
<講評>
相手の言っていることを上手くまとめられていたし、自分たちの意見もきれいにまとめていた。しかし、自分たちの意見を繰り返し言うのではなく、お互いの意見を比べてなぜ自分たちの意見が生徒にとってよりよいものなのかの説明が出来ればよかった。

「Government」チーム

「Government」チーム最後のまとめ。時間ギリギリまで話し合う場面も見られ、反論文を熟考。
そして迎えた最後のスピーチ、場内はさらにヒートアップする。

<意見>
  • ・They said we don’t have time and we should not spend time only working but we can gain sense of satisfaction. This is important for our life. You can’t gain these responsibilities from club activities because there are always adults or teachers watching.
    (「Opposition」チームは時間があまりないから働いてるだけではいけないと言いましたが、働いたら満足感が得られます。これは私たちの人生でとても大事です。この責任感などは部活からは得られません。先生や大人がいつも見守っているからです。)
  • ・Government said that you can gain responsibilities through study and club activities but you need to learn importance of life. When you learn to be responsible, you will become a fine character and we will be able to do things by ourselves. You can gain responsibilities and leadership.
    (「Opposition」チームは部活や勉強からでも責任感は得られると言ったが、私たちは人生の大切さを学ばなければなりません。責任感を身につければあなたの良い人間になれ、自分で自分のことが何でも出来るようになります。責任感とリーダーシップが得られます。)
<講評>
自分たちの意見は強く言えていたが、なぜ責任感やリーダーシップが大事なのかの説明ができていなかった。生徒の人生にどんな影響があるのかの説明があればなお良い。まとめは、お互いの意見を良くまとめられていた。相手の意見と自分の意見を比較して、どうして生徒にとって自分たちの意見が良いのか、影響力や役立ちなどを説明できればよかった。