共感の連鎖が心地よい毎日につながる

この記事を書いた人✐新谷典子

withコロナにおいて閉塞感も漂うなか、少しでも心地よい毎日を送ることは、私たちにとって大事なテーマになっています。

心地よい毎日を送る要素のひとつが人間関係です。ギスギスした人間関係に悩まされていては、心地よい毎日を送ることはできませんよね。

例えば、こんな1日があったとしたらどうでしょうか。

朝起きて、あなたが「おはよう」と妻に声をかけても、目もあわせてくれず、返事もしてくれない。ひとりで朝食を済ませあなたは仕事に出る。通勤電車であなたが思いきり足を踏まれても、謝罪の言葉ももらえず、逆に踏んだ当人にはマスク越しに、睨まれる。イライラマックスで会社に到着すると、同僚と挨拶も交わさずデスクについて、パソコン作業を始める。ランチも各自で黙食、うっかりくしゃみをしたあなたに、近くに座っていた部下が眉をしかめる。上司があなたに声をかけるのはあなたのミスの指摘のときだけで、あなたが自分の部下のミスの後処理に東奔西走したプロセスは、わかろうともしてくれない。残業を終えて疲れた体を引きずりおなかをすかせて帰宅、「ただいま」と声を張り上げてもぺットの犬さえも玄関出迎えに来ないし、子供はリビングでスマホに夢中、あなたに背中を向けている。その高いスマホ代金を、払っているのはあなたなのに。妻は開口一番、「あら、もう帰ってきたの?あ!汚い手でポンタくん(犬)に触らないで、はやく手洗い、消毒してよ。夕飯残ってないんだけど。外ですませてきてくれたよね?」

「誰も私の気持ちわかってくれない」
そんな気分になるかもしれません。

誰しも「自分の気持ちをわかってほしい」と思いますし、人の気持ちに寄り添う、共感を寄せるということは、心地よい人間関係を築くうえで大切なテーマです。学校、職場、家族で身近な人への共感力を発揮することが、ハッピーに生きる鍵になるのではないでしょうか。

共感力とは?

「共感力」とは、相手を慮るという人間特有の能力であり、AI(人工知能)では置き換えることができない能力です。相手の望みは何かということはもちろん、相手さえも気づいていない、潜在的な要求や心情にまで思いをいたす能力が共感力と言えます。

この力は、どんな職業のひとにも大切です。この世に存在するすべての仕事は、職種を問わず、人の苦しみを減らし、喜びを増やすためにあるのではないでしょうか。

それを達成するには、相手は何に苦しみ、何に喜びを感じているかを汲み取る感性、力が必要です。相手が自分に何を求めているか察知し、汲み取って、かつ行動に移してこそ、「共感力を発揮した」と言えるでしょうし、心地よい人間関係が育まれます。

K院長から気づかされたもの

コロナ禍において、医療の現場でも、ますます共感力の発揮が必要とされており、現在、わたしたちは、クリニックで、医療従事の皆さま向けにもコミュニケーション研修を提供させていただいております。

K院長先生の、「このクリニックで働く皆が、お互いへの敬意と共感、誇りと喜びをもって任務できることを重視したい。それによって、患者様に対してもスタッフの皆が共感力を発揮し、患者様が安心して通えるクリニックづくりをしてゆきたい」という強い思いに応えるべく、研修プログラムをお届けしているのです。

K院長先生とのお話をとおして、「共感」について、あらためて知らされたことは「身近な仲間にこそ、まず共感を寄せることが大切だ」ということです。
こんな会社もあるとききます。それは「お客様は大事に。お客様には共感を寄せること。」といいながら、従業員には冷たくあたる会社…

お客様に対しては共感を寄せ笑顔で接するようにと指導するのに、社員に向かっては共感を寄せず眉間にシワを寄せて叱咤する会社だとしたらどうなるでしょうか。

一緒に働いている仲間や、部下たちを大事にせずに、共感も寄せず、外部にだけいい顔をするような組織なら、社員は去ってゆき、じきにお客様も離れてゆく… 私も、そんな会社を見たことがあります。逆に、まず従業員を大事にし、それが、顧客満足へとつながっている会社もあります。

マリオット・インターナショナルも、そのような会社ではないでしょうか。
「従業員を大切に扱えば、従業員もお客様を大切にするようになります。」
J・ウィラード・マリオットのこの哲学は、85年以上の長きにわたってマリオット・インターナショナルの職場環境を支えてきたそうです。

くだんのK院長先生のクリニックも、院長先生ご自身が身近なスタッフに共感を寄せられ、自ら明るい挨拶をされ、スタッフ同士も共感を寄せ合っておられることが、優しい表情からも伝わってきます。お互いを信頼し大事にするままが、患者様に共感を寄せることにつながっているという共感の連鎖を生んでいるようです。

そんなクライアントに出会えたことに感動と感謝を寄せつつ、私自身も一緒に働く仲間を大事にしてゆきたいですし、家庭でも、家族の気持ちに寄り添うことで、心地よい共感の連鎖を生んでゆきたいと思います。


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