わかりやすいディベートのしくみ「①ディベートの分類」 

シリーズの目的

この記事を書いた人✐横山悠規

皆さんは「ディベート」と聞くとどんなイメージを持ちますか?

「論争」「議論」「論破」など、様々なイメージがあるかと思います。ディベートとは、ある論題(テーマ)について肯定側と否定側に分かれて順番に意見を述べ、第3者であるジャッジ(審判)を説得する取り組みの総称です。

最新の高等学校学習指導要領にも「ディベートやディスカッションなどの言語活動を中心に」と明記されており、ディベートの注目度はとても高まっています。

・「英語ディベートが苦手…」
・「英語での発言に自信がない…」
・「大会に向けて練習したい…」

そんな皆さんの悩みを解決するために、このコラムを書き始めました。

このコラムでは、ディベート上達のコツやアドバイス、練習法等をお伝えします。

第1回は「様々なディベートの分類とそれぞれの特徴」についてお届けします。

様々なディベートの分類と特徴

ディベートには実に多くの形式が存在し、目的に応じて選択されます。今回、様々なディベートの形式を弊社独自で分類しました。それぞれの分類と特徴を見ていきましょう。

最初の分類は「型」です。ディベートの準備時間の長さによって「準備型」と「即興型」の大きく2つに分けられます。

  • 準備型
    …論題(テーマ)が発表されてから長期の準備期間が設けられます。準備期間に集めた証拠やデータを提示しながらディベートを行います。形式によって、1年ほど準備をすることもあります。
  • 即興型
    …論題(テーマ)が発表されてから短い準備時間(通常15分~30分程度)が与えられます。準備時間終了後すぐにディベートが始まります。

種類

次の分類は「種類」です。ディベートを行う目的によって分けることができます。代表的な4種類をご紹介します。

  • Policy debate
    …新法案について賛成・反対に分かれて問うことを主な目的とする。cross-examination debate とも呼ばれ、主張の後に質問(尋問)時間が設定されていることが特徴。準備型の種類の1つで、アメリカの大学で用いられることが多い。トピックは1年に1つ与えられる。
  • Public forum debate
    …前述の Policy debate の簡易版(スピーチ時間がPolicy debate より短い)。 準備型の種類の1つで、1~2か月ごとにトピックが変わる。
  • Lincoln-Douglas debate
    …1対1で行うディベートの種類。政策に対する倫理観や価値観、哲学的思想について特に議論することが多く Values debate と呼ばれることもある。アメリカ大統領選挙などで、候補者同士が議論するときに用いられている。
  • Parliamentary debate
    …イギリス議会を模したディベートの種類で、即興型の種類の1つ。

※日本で開催される大会との関連

日本でも多くのディベート大会が開催されており、主催団体によって採用している種類が異なります。

  • Policy debate: 日本全国英語ディベート連盟(HEnDA)等
  • Parliamentary debate:日本高校生パーラメンタリーディベート連盟(HPDU)、パーラメンタリーディベート人財育成協会(PDA)等

スタイル

最後に「スタイル」について紹介します。チーム数や役割、規定時間やチームごとの人数などによって分けられます。Parliamentary debate を例にとって見てみましょう。

  • North American (NA)
    …チーム数は2つ。チームの人数は2人。
  • British Parliamentary (BP)
    …チーム数は4つ。チームの人数は2人。
  • Asian Parliamentary (Asian)
    …チーム数は2つ。チームの人数は3人。

以上のように、ディベートには様々な形式があり、求められるスキルがそれぞれ異なります。自分が磨きたいスキルに合わせて形式を選択することが大切です。

今回は「様々なディベートの分類と特徴」をテーマにお送りしました。

次回のテーマは「ディベートで成長するための心構え」についてです。お楽しみに!