「痛い」を使い分ける
~pain, ache, sore, agony, hurt~
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この記事を書いた人✐稲邊倫史
英語の難しさの1つにニュアンスの違い、というものがあります。「辞書で調べると複数の英単語が出てくる!」「それぞれどう違うの?」と思ったことがあるかもしれません。
このシリーズでは、そういったニュアンスの違いとそれぞれの単語の使い分けを、バイリンガル・アメリカ出身のネイティブ両方の視点からお届けします。
※「ニュアンスの違いを知ってより細かに思いを伝えよう」「大きな違いがないことを知って怖がることなくどんどん言葉を使おう」をコンセプトにしています。正しく正確な言葉の遣い方だけを推進するものではありません。
目次
「痛い」は英語で?
今回は「痛み」を表す、pain, ache, sore, agony, hurt の5つの使い分け・ニュアンスの違いを見ていきます。
使い分けのポイントは「身体的な痛みなのか、精神的な痛みなのか」、「痛みの種類やレベル」、そして「品詞」です。
Pain は「痛みを表す基本的な単語」
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1. a feeling of physical suffering caused by injury or illness
Cambridge Dictionary
2. emotional or mental suffering
「痛み」という一番基本的な単語が “pain” です。
名詞として使われることが多くあります。
身体的・精神的な痛み両方に対して使われ、痛みの種類やレベルはあまり気にせず使うことができます。
痛みの種類やレベルを表したいときは、以下のような単語と合わせて使います。
痛みの種類
- burning (焼けるような)
- sudden (急な)
- throbbing (ズキズキする)
- tight (締め付けられる)
- splitting (割れるような)
- stabbing / stinging (刺すような)
- pounding (ガンガンする)
痛みのレベル
- ちょっとした:slight / mild
↓ - 激しい:extreme / intense / severe / terrible
↓ - 我慢できないくらい:agonizing / excruciating / intolerable / unbearable
例文
- I have a sudden pain in my chest, so I want to see a doctor.
(突然胸に痛みを感じたので、病院に行きたい。) - I feel some pain in my chest, so I want to see a doctor.
(胸が少し痛いので、病院に行きたい。) - After the operation, you will get medicine to help with the pain.
(手術後、痛み止めの薬をもらいます。) - He was in a lot of pain after the death of his wife.
(妻の死後、彼は深く心を痛めた。)
Ache は「長く続く鈍い痛み」
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a continuous pain that is unpleasant but not very strong
Cambridge Dictionary
“pain” と同様、名詞として使われる “ache” の特徴は次の2つです。
① 痛みレベルは低い
② 長く続く鈍い痛み・不快感
“pain” と比べ、痛みのレベルや種類に焦点が当てられています。
また、身体的な痛みに対して使われることがほとんどです。
多くの場合、身体の部位と組み合わせて使われます。
代表的な例
- stomachache(腹痛)※1
- toothache(歯痛)
- backache(背中、腰の痛み)
- headache (頭痛)
- heartache(心が苦しい)※2
※1 stomachache と stomach pain の違い
“stomachache” は食あたりなどによって引き起こされるお腹の不快感を表し、”stomach pain” は突然くる痛みなどを表します。
※2 heartacheの使い方
“ache” は身体的な痛みに使われることがほとんど、と書きましたが、”heartache” は例外的に身体的な痛みよりも精神的・感情的な痛みを表します。身体的な痛みを表したいときには “chest pain” を使います。
例文
- If you have a toothache, you should see your dentist as soon as possible.
(もし歯が痛いなら、なるべく急いで歯医者に行ったほうがいいよ。) - My muscles usually ache after leg day, but that proves I worked hard.
(脚の筋トレをした後いつも筋肉痛になるけど、ちゃんとしたって証拠だ。) - My back has been aching all day, so I think I didn’t sleep well.
(背中が今日ずっと痛いので、多分寝違えただろう。)
Sore は「怪我や疲労による痛み」
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painful and uncomfortable because of injury, infection, or too much use; associated with physical discomfort rather than mental or emotional pain
Cambridge Dictionary
“sore” は「炎症や傷、怪我、または疲れからくる痛み」を表します。
“ache” と同様に精神的・感情的な痛みではなく、身体的な痛みに使われることがほとんどです。
また、多くの場合 “sore” は形容詞として使われます。
例文
- My feet are sore from walking all day.
(一日中歩いたので足が痛い。) - If I look at a screen too long, my eyes get sore.
(スクリーンを見続けると目が痛くなる。) - The bruise on my arm is sore, so I’m trying not to sleep on it.
(腕の傷が痛むので、そっちを下にして寝ないようにする。)
Agony は「激しい苦痛」
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extreme physical or mental pain or suffering
Cambridge Dictionary
“agony” は「身体的・精神的な激しい痛み」を表し、名詞の形で使われます。
“agony” で表す痛みは、その痛み以外に他の事を考えることができないというレベルです。
今回紹介する5つの中で一番強く激しい痛み・苦痛を表します。
例文
- She cried in agony while waiting for the ambulance to arrive.
(救急車が到着するまで、彼女は痛みで泣いた。) - The verdict only added to the agony of the victim’s family.
(その判決は被害者の家族に苦痛しか残さなかった。) - The veterinarian said the rest of the dog’s life would be filled with agony, so they decided to put him down.
(生涯痛みに苦しむことになるだろう、と獣医の先生は言ったので、彼らは犬を眠りにつかせることにした。)
Hurt は「痛みを引き起こす、という動詞」
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1. to feel pain in a part of your body, or to injure someone or cause them pain
Cambridge Dictionary
2. upset or unhappy
“hurt” は「痛みを引きおこす」という意味の動詞として使われ、精神的・身体的両方、痛み全般について表すことができます。
また「傷つける」という意味でも使用されます。
例文
- My leg hurts a lot since I fell the other day.
(転んだので足がすごく痛い。) - The dog hurt the girl, but it was an accident.
(その犬は女の子を傷つけたが、それは事故だった。) - I’m sorry that I hurt your feelings when I yelled.
(怒鳴ってしまってすみません。傷つけてしまいました。)
まとめ
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これらの単語が実際どのような場面で使われているか、ぜひ確認してみてください。
See you next time!!
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