「やる気にさせる」を使い分ける
~encourage, inspire, motivate~

「やる気にさせる」を使い分ける~encourage, inspire, motivate~

この記事を書いた人✐稲邊倫史

英語の難しさの1つにニュアンスの違い、というものがあります。「辞書で調べると複数の英単語が出てくる!」「それぞれどう違うの?」と思ったことがあるかもしれません。

このシリーズでは、そういったニュアンスの違いとそれぞれの単語の使い分けを、バイリンガル・アメリカ出身のネイティブ両方の視点からお届けします。

※「ニュアンスの違いを知ってより細かに思いを伝えよう」「大きな違いがないことを知って怖がることなくどんどん言葉を使おう」をコンセプトにしています。正しく正確な言葉の遣い方だけを推進するものではありません。

「やる気にさせる」は英語で?

今回は「やる気にさせる」を表す encourage, inspire, motivate の3つに焦点を当て、それぞれの違いと使い分けについて見ていきましょう。

encourage は「直接のやりとりでやる気にさせる」

1. to make someone more likely to do something, or to make something more likely to happen
2. to talk or behave in a way that gives someone confidence to do something

Cambridge Dictionary

“encourage” には2つの意味があります。
① 促進する、助長する
② 勇気づける、励ます

このように “encourage” には背中を押すというニュアンスがあり、手助けをしたり自信を与える声がけをしたりといったなんらかの直接的なやりとり・サポートがあることが強調されます。

ほとんどの場合、やる気にさせる側とさせられる側には接点があります。

主語には人がくることはもちろん、行動を促す物がくることもあります。

例文

  • Although it is not required to graduate, the principal encourages students to take a language class.
    (卒業には必要ないが、校長先生は生徒に語学クラスをとるよう勧めた。)
  • My mom always encourages me to keep trying after I fail.
    (わたしが失敗すると、母はいつもわたしが諦めないよう励ましてくれる。)
  • The new wearable device encourages us to be more healthy.
    (新しいウェアラブル端末は、私たちがより健康でいるよう促す。)

inspire は「強い影響力で気持ちを湧き起こす」

1. to make someone feel that they want to do something and can do it
2. to make someone have a particular strong feeling or reaction
3. to give someone an idea for a book, film, product, etc.

Cambridge Dictionary

“inspire” には3つの意味があります。
① 鼓舞する、刺激する、やる気にさせる
② 強い感情や反応を引き起こす
③ 本や映画などのアイデアを与える

“inspire” には、刺激によって強い気持ちを引き起こすというニュアンスがあります。

“encourage” が「直接的なやりとり・サポート」を意味していたのに対し、”inspire” にはそのニュアンスがあまりありません。

例えば、芸能人やスポーツ選手など、尊敬する人の言動に感化された場合などに “inspire” は使われます。直接その人がサポートをしたかどうかやつながりがあるかに重きは置かれません。

また、”encourage” と比べると、より大きな決断や重要な事柄に対して使われることが多いようです。

例文

  • My favorite high school teacher inspired me to pursue higher education.
    (わたしの高校の大好きな先生のおかげで、わたしは大学へ進み、より高い教育を追求しようという気になった。)

    →先生がわたしに対して直接的なサポートをしたかどうかは分からない。先生の存在や振る舞い、日頃の言動などによって、わたしの中にやる気が沸き起きたことを表している。
  • A good politician can inspire young people to participate in government.
    (良い政治家は、若者が政治に参加するようやる気を引き起こすことができる。)
  • Many books and movies have been inspired by the life of Elizabeth I.
    (多くの著書や映画は、エリザベス1世の人生からアイデアを得ている。

motivate は「動機を与える」

1. to cause someone to behave in a particular way
2. to make someone want to do something well

Cambridge Dictionary

“motivate” には2つの意味があります。
① 動機を与える
② やる気を起こす

“motivate” は “encourage” と同じように使われます。行動に対する動機を与えやる気にさせるというニュアンスです。

多くの場面で “motivate” と “encourage” は置き換え可能です。
区別をするならば、”motivate” は『その人自身からくるもの』であり、”encourage” は『他の人からくるもの』という点です。

例えば、”She encouraged me to take the test again, so I became motivated to study harder.”(彼女がもう一度テストを受けるよう勧めてくれたおかげで、頑張って勉強しようというやる気がわいた。)のように使い分けます。

例文

  • If we offer teachers a higher salary, more people will be motivated to become teachers.
    (もし教員の給料を引き上げたら、より多くの人々が教師になろうとするだろう。)
  • Giving students opportunities to use English to communicate will motivate students to learn.
    (英語でコミュニケーションをとる機会を生徒に与えることで、彼らの学習意欲は高まるだろう。)
  • My favorite high school teacher motivated me to pursue higher education.
    (わたしの高校の大好きな先生のおかげで、わたしは大学へ進み、より高い教育を追求しようという気になった。)

まとめ

やる気にさせるの英語の使い分け

これらの単語が実際どのような場面で使われているか、ぜひ確認してみてください。
See you next time!!