「賢い」を使い分ける
~smart, intelligent, bright, clever, wise~
この記事を書いた人✐稲邊倫史
英語の難しさの1つにニュアンスの違い、というものがあります。「辞書で調べると複数の英単語が出てくる!」「それぞれどう違うの?」と思ったことがあるかもしれません。
このシリーズでは、そういったニュアンスの違いとそれぞれの単語の使い分けを、バイリンガル・アメリカ出身のネイティブ両方の視点からお届けします。
※「ニュアンスの違いを知ってより細かに思いを伝えよう」「大きな違いがないことを知って怖がることなくどんどん言葉を使おう」をコンセプトにしています。正しく正確な言葉の遣い方だけを推進するものではありません。
目次
「賢い」は英語で?
今回は「賢い」を表す言葉としてよく使われる、smart, intelligent, bright, clever, wise の5つの使い分け・ニュアンスの違いを見ていきます。
大きく分けると、smart, intelligent, bright, は大体同じ意味で使われ、clever と wise だけ少し違った印象を与えます。
smart は「幅広い意味・場面で使える賢さ」
able to think quickly or intelligently in difficult situations
Cambridge Dictionary
「賢い」という意味で幅広い意味・場面で使われているのが “smart” です。人や動物など、使える対象も広いです。
基本的には「勉強ができる頭の良さ」を表しますが、後述するように言い方によっては「生きる上での賢さ」を表すこともできます。
アメリカ英語において、最も一般的に使用される言葉と言えます。
book smarts VS street smarts
“smart” はよく “book smarts” と “street smarts” という対照的な言葉で使われます。
“book smarts” がいわゆる「勉強ができる賢さ」を意味するのに対し、”street smarts” は「生活する上での賢さ」を意味します。
例文
- Brenda is smart and always asks questions in class.
(ブレンダは頭が良く、クラスでいつも質問をする。) - You’re a smart guy, so I’m sure you can solve this problem.
(あなたは賢い人だから、あなたならこの問題を解決できると思う。) - If you’re street smart, you can maneuver your way through any situation.
(もしあなたが生きる上の賢さを持っていたら、どんな状況でも切り抜けられる。)
※maneuver:抜け出る、切り抜ける
intelligent は「smartよりも賢さを少し強調している」
showing intelligence, or able to learn and understand things easily
Cambridge Dictionary
“intelligence” という名詞が「知能・思考力・理解力」を表し、それらが高いのが “intelligent” というイメージです。
多くの場合 “smart” と同義で使えますが、”smart” よりもやや賢さの意味合いが強く、口語的というよりは文語的です。
人だけではなく、動物やロボット・AIなどにも使えます。
例文
- Gorillas are intelligent animals that are capable of learning sign language to communicate with people.
(ゴリラは人とコミュニケーションをとるために手話を使えるほど知能の高い動物である。) - He is a very intelligent person, but he often gets nervous during exams.
(彼は非常によくできる人だが、試験ではよく緊張している。) - The voice command control function in this device is so intelligent that it can recommend healing music when you are sad.
(このデバイスの音声操作機能はとても賢くて、あなたが悲しいときに癒しの音楽をおすすめしてくれる。)
bright は「子供や若者に対して使われる賢さ」
intelligent and quick to learn
Cambridge Dictionary
“bright” は “smart” と同様に広い意味での賢さを表しますが、天性の才能がある、という意味合いで使われることもあります。
使う対象は子供や若者など将来有望な人であることが多いです。
“bright” がもともと「明るい」という意味を持つように、未来が明るく将来性がある、というところからきています。
例文
- Tom is a bright student, so he should be transferred to the advanced class.
(トムは賢い生徒なので、アドバンスクラスに移るべきだ。) - She’s a bright kid and picks up new instruments quickly.
(彼女は賢い子で、すぐに新しい楽器を使えるようになる。)
※pick up:知識などを身に着ける、聞き覚える
clever は「頭の回転の速さや機転の良さ」
having or showing the ability to learn and understand things quickly and easily
Cambridge Dictionary
“clever” が示す賢さは、どちらかというと頭の回転の速さや機転がきくことです。
また、特にイギリス英語では、”clever” を好んで使うことが多いようです。
(その際にはアメリカ英語で言う “smart” のように広い意味で使われます。)
例文
- Telling clever jokes at the right time will make you more likable.
(気の利いたジョークをしかるべき時にできると、もっと人気が出る。) - Shakespeare was clever at making plays which many different classes of people could enjoy.
(シェークスピアは、あらゆる階級の人々が楽しめる演劇を作ることに長けている。)
※be clever at~ : ~に長けている、~の達人である
wise は「経験が豊富にあり、正しい選択ができる賢さ」
having or showing the ability to make good judgements, based on a deep understanding and experience of life
Cambridge Dictionary
“wise” が持つ賢さとは「経験や知識が豊富にあり、物事を正しく判断をすることができる」です。
アカデミックな賢さもさることながら、経験則に基づいて決定できることに焦点が当たるため、通常経験や知識が豊富な年上の人に対して使われる場面が多くあります。
例文
- Listening to the advice of your parents is usually a wise choice.
(両親の助言を聞くことは、たいてい賢い選択である。) - Professor Smith is a very wise person with a lot of experience, so listen closely to what she says.
(スミス教授は経験豊かなとても賢明な人なので、彼女が言うことをよく聞くように。)
まとめ
これらの単語が実際どのような場面で使われているか、ぜひ確認してみてください。
See you next time!!